第120章

ロゲスト公爵領は聖ロット帝国の東境に位置する。辺境領とはいえ、東の山々を越えれば広がるのは蒼い海で、他国と国境を接しているわけではない。東境に交代で駐屯する軍団が主に警戒しているのも、海から来る脅威だった。

もっとも、ロゲスト公爵領は「最東端」の領地ではない。海とのあいだには幾重もの山と峡谷が横たわり、たとえ河口があったとしても、海に棲む海獣が淡水の川で生きられるはずがない。川を遡って押し寄せてくることなど、まず起こらない。

つまりこの領地は、海の危険とは縁が薄い。五大軍団が東境を守る際も、わざわざこの海域を担当に選ぶことは少ない。だから獅鷲軍団が東境の当番に当たっていても、公爵領へ戻る...

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